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「不動産×IT」が生む新経済パラダイム--大量生産型から“生活者参加型”に



こんにちは。不動産担保ローンの日宝です。
東日本大震災から6年を迎えました。Yahoo JAPANは今年も「Search for 3.11」として、Yahoo JAPANで「3.11」と検索するとひとりにつき10円が東北復興にたずさわる団体に寄付されるというキャンペーンを実施しました。
まだ仮設住宅に暮らしている方々が多くいらっしゃいます。1日も早く元の生活に戻れることをお祈りいたします。
さて今日は、シェアリングエコノミーについて紹介いたします。

「不動産×IT」が生む新経済パラダイム--大量生産型から“生活者参加型”に

民泊という言葉と共に、すっかり認知されるようになった空き部屋シェアサービスの「Airbnb」。国内外では、Airbnbのビジネスモデルを参考にした類似サービスが後を絶ちません。特に、日本とは規制の異なる海外は、私たちの想像の遥か上をいくサービスが形になりつつあります。
 ユニークなアイデアで生まれたシェアリングサービスを知ると、ビジネスパーソンとしてだけでなく、いち生活者としてワクワクしてきます。そして、このワクワクは、テクノロジがアナログ産業に与えたものに他ならないと思っています。身近な「スペース」をテーマにする3回目は、このワクワクをお伝えします。

■ビジネスモデルから見る不動産業のIT化
Airbnbは宿泊施設を提供していますが、業界構造からすればホテル業というより不動産業として捉える方が正しいでしょう。そこでまず、ビジネスモデルから不動産業のIT化を整理したいと思います。
 不動産ITサービスの代表的なビジネスモデルは、売り手と買い手をマッチングさせ手数料をもらうモデルと、不動産投資家や不動産デベロッパーに対して情報やツールを提供するモデルの2つがあります。前者のマッチングモデルの中には、国内だと「cowcamo」や「IESHIL」、米国だと「Zillow」など中古物件を仲介するものと、スペースを仲介するものとに分けられ、「Airbnb」など民泊サービスはこのスペース仲介に該当します。
 ちなみに、後者の情報やツール提供モデルだと、今後売りに出される物件を推定するビッグデータ分析ツール提供の「Smartzip」(2014年に1200万ドル調達)など不動産業者向けのものや、VRやARなどでインテリアのシミュレーションができる「iStaging」など越境投資家向けのもの、人工知能を使って不動産の成約価格を高精度で推定する「VALUE」など個人投資家向けのものと多岐に渡っています。
 情報の非対称性が明瞭であるため、IT化の伸びしろが大きいと注目され、現在米国中心に新しいITサービスが登場しているのがこの不動産業です。その中で、スペースのIT化を推し進めるAirbnbに注目し、圧倒的な成長を遂げる彼らを語る上でシンボリックな3つの数字「230万件」「1億人」「1億ドル」から、スペースがIT化されることの経済的そして世界的インパクトについて考察したいと思います。

■スペースのIT化のインパクトは都市を変える
まず、230万件ですが、こちらは登録客室数。米ヒルトン、米マリオット、英インターコンチネンタルの3大ホテルチェーンの客室数の合計を上回っています。
 次に、1億人は、サービス開始の2008年から2016年夏までの総利用者数。登録客室数がホテルチェーンより多く、かつ安いとなれば、このように利用者が増えるのは必然ですが、ざっと計算すると1日平均3万人強、すごい数です。
 最後の1億ドルは、リオ・オリンピック会期中の経済効果に当たります。現地で同サービスを利用したゲストは8万5000人に達し、それにともなうホスト収入は3000万ドルとなったそうです。
 スペースがIT化されたことでホテル・不動産市場のパイが増えたということはなく、既存のパイを新興サービスが食うことで、より適切なところに賃料というものが配分されているように感じます。しかし、ユーザーが妥当な宿泊費を享受できることによって、滞在日数や旅行頻度が増え、長期的にはホテル・不動産市場全体がメリットを得られる可能性も出てきました。
 また、もし上記の3つの数字以外に付け加えるならば、Airbnbがリオ五輪の代替宿泊施設公式サプライヤーに選定され、都市のインフラとして着実にポジションを確立しつつある点にも注目しなければなりません。東京五輪時に外国人訪日客は20~40万人と推計される一方、都内の客室数は約15万と言われており、Airbnbはじめ代替宿泊施設の活用は不可避とも言えます。
 それでは、これほどのインパクトをもたらすAirbnbのような民泊サービスが今まで存在しなかったのでしょうか。スマホの登場が世界を変えたのでしょうか。いや、もちろんそれも後押ししましたが、他にも原因があるように思います。

■スペースのIT化を阻んでいた2つの要因
 1つ目、それは信用の有無にあるように思います。今までは部屋を貸してと言われても、部屋はプライベートかつデリケートなものですから、なかなか他人に貸すことはできませんでした。しかし、SNS上の“LIKE”などのレビューが、実社会にも通用するほどの確かな信用になったことで、会ったことのない他人でも部屋を貸すという信用関係が誕生し、スペースのIT化の実現に至りました。言い換えれば、SNSは信用を証明するツールでもあるのです。
 また、マクロ経済的な観点ですが、経済成長が鈍化する中でサステナブルな社会活動を実現するためには、雇用時間とは別の資産の有効活用は不可欠になりました。言い換えれば、以前は十分に所得もあり、また将来展望も明るく見通せたため、給与以外の対価を得る必要もあまりありませんでした。
 このように、信用関係と経済状況の変化が、スペースのIT化を後押ししたと言えるでしょう。ただし、最も決定的な理由となったのは、シェアリング・エコノミーがITによって確立したことが大きいと思います。それでは、この古くて新しい経済パラダイムをどう活用すればいいのでしょうか。

■シェアリング・エコノミーは消費者を生活者にアップデートする
Airbnbはシェアリング・エコノミーを象徴するようなサービスです。ご存じの方も多いと思いますが改めて説明すると、シェアリング・エコノミーとは、個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスによって成り立つ経済圏のことを指します。
 例えば、私の家にほぼ使っていない部屋があった場合に、その部屋を宿泊施設としてAirbnbを介して他人に貸し出すことで、私は収入を得ることができ、また、宿泊施設を探しているユーザーはホテルを借りるよりも安価に利用できるというメリットがあります。双方に良いことがある、というのがポイントです。
 そして、先ほども説明しましたが、メリットを感じられても実際に貸し借りするという行為を実現させたのは、信用関係の存在です。AirbnbはSNS認証で、レビューされあった個人が取引に参加できるようになったことはシェアリング・エコノミーの実現に大きく寄与したと思います。SNSの他ユーザーから評価されている売り手・買い手を見ることで、会ったことはなくとも、そこに信頼を持ち込むことができるようになったと言えるでしょう。
 モノにあふれた時代だからこそ、モノやスペースを占有的に利用するのではなく、共有的に利用することで、モノの貸し手も借り手もWin-Winの関係を築くことができます。また、別の見方をすれば、今まで消費活動だけに留まっていた消費者を、Win-Winの関係性を築く経済生活の担い手として参画させることにもつながります。大量生産型に代わる、生活者参加型という新しい経済パラダイムのはじまりです。参加できるというところにワクワクを感じるのではないかと思っています。

■Airbnbに次ぐシェアリング・エコノミーの旗手たちのワクワク
 今回は、空き部屋というスペースに注目してきましたが、ほかにはガレージや空き駐車場のような極小スペースを貸し借りする「軒先.com」や、寺や古民家などユニークなスペースを貸し借りする「スペースマーケット」が存在します。経営合宿を古民家でやるなんてスマートで良いですよね。公私ともに素敵な使い方ができそうです。
 一方、コワーキングスペースのシェアリングサービスだと、ニューヨーク発のスタートアップ「Spacious」が要注目です。ここはレストランを日中コワーキングスペースに替えるサービスを展開しています。日本よりもフリーランスやスタートアップの多い米国だからこそのサービスですが、ワークスタイル変革が起こっている日本でも十分に可能性のあるサービスに思えますし、何より個人的には使ってみたいですね。賑やかなカフェよりも、すごく雰囲気の良いレストランで仕事した方が捗りそうです。
 このように、スペースがIT化され、誰もが簡単に貸し借りをできるようになると、今までは考えもつかなったことが実現され、都市生活が大きく変わります。逆に言えば、私たちは今まで束縛されていたのです。その束縛がITによって解き放たれたことで、私たちは社会に参加する、使いこなすという新しい楽しみを得ることができました。

■倉庫会社の目線
ちなみに、私たちMINIKURAもこのシェアリング・エコノミーには非常に可能性を感じます。実際のところ、倉庫に預けたモノを売買できるサービス(minikuraTRADE)を2016年9月に始めましたが、今後預けたモノを貸し借りできるような世界観も構想しています。
 それと同時に、テクノロジの活用方法として、宿泊施設や会議室のような既存のニーズに向けたものではなく、新しいライフスタイル(体験価値)を生み出すものにも私たちは注目しています。例えば、一昨年に始まった、泊まれる本屋がコンセプトの「BOOK AND BED」です。
 このサービスというかホステル、皆さんご存じでしょうか。ただの空間にセンス良く選んだ本を集めるだけの“本の多いホステル”ではなく、“泊まることができる、読書中の寝落ちの気持ちよさを体験できる本屋”とコンセプトを設定したことで、そのスペースに期待できる体験価値が大きく変わりました。同じ空間だとしても後者のコンセプトの方が断然魅力的です。箱(ハード)ありきではない、非常にユニークな考え方(ソフト)です。
 しかしながら、新しいライフスタイルや体験価値を生み出すことは難易度の高いものです。BOOK AND BEDのように話題化するのはまれ、という認識の方が現実的でしょう。ただし、ITを活用することで、確度を上げることができると私たちは考えます。
 具体的には、SNSにおいてクラスタ別の興味を分析することで、出店の勝率を上げるようなことができるかもしれません。例えば、車好きは飲み明かせるガレージのような宿泊施設を求めているかもしれませんし、あるいは、スタートアップは合宿もパーティーもできる会議室を求めているかもしれません。ITだからこそ可能な、一斉に多くの方からレスポンスを得ることで、出店という大きなリスクを減らし、むしろ最適な顧客とのマッチングを図るようなことが実現するでしょう。
 本稿前半で紹介したシェアリング・エコノミーのみならず、後半で言及した超短期間の関心の分析およびマッチングなどのテクノロジ活用も、スペースをIT化する新しい不動産ビジネスに欠かせないものです。

CnetJapan 2017年02月28日配信 「不動産×IT」が生む新経済パラダイム--大量生産型から“生活者参加型”に より引用


矢野経済研究所発表の「シェアリングエコノミー(共有経済)市場に関する調査を実施 (2016年)」によると、2015 年度の国内シェアリングエコノミー市場規模は前年度比 22.4%増の 285 億円だったそうです。これはUber や Airbnb などの海外で先行的に普及したシェアリングエコノミーサービスが 2014 年に日本市場に参入し、シェアリングエコノミーサービスを試験的に利用する人が増加したことによるものとしています。
また、旅館業法の特例が施行されたことで民泊市場に参入する事業者が増加し、ファッションシェアリングサービスも次々とリリースされました。
2020 年の東京オリンピック訪日外国人客の増加が見込まれていますが、こうした訪日外国人客が、民泊、オンライン駐車場予約サービス、ライドシェア、オンラインマッチングサービスなどのサービスを利用していくと予測しています。
シェアリングエコノミー国内市場規模全体の 2014 年度から 2020 年度の年平均成長率(CAGR)は 17.1%となり、2020 年度には 600 億円に達するとしています。2016年1月には、「シェアリングエコノミー協会」が発足し、勉強会や普及活動を行っていくそうです。衣食住の様々な分野で、私たちの生活はこれからも更に豊かで便利になりそうですね。


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