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日本人の「金融リテラシー」は本当に低いのか、預金大国の意外な真実




 こんにちは。不動産担保ローンの日宝です。
メルカリが8月8日に発表した2019年6月期(18年7月~19年6月)通期連結決算は、売上高が前期比44.5%増の516億8300万円、営業損益が121億4900億円の赤字(前期は44億2200万円の赤字)、純損益が137億6400万円の赤字(前期は70億4100万円の赤字)と増収減益だったそうです。国内でのフリマアプリ事業は黒字だったが、AI人材の採用、米国事業、モバイル決済サービス「メルペイ」などへの投資がかさんだことが影響したとのことです。決済サービスはセブン・ペイがサービス停止したこともあり、今後も注目したいですね。
 さて今日は金融リテラシーについて触れてみたいと思います。

□「投資から貯蓄」という現実
巷を騒がせた年金2000万円問題を経て、改めて日本における資産形成への考え方、より大上段に構えれば「金融教育の必要性」を説く議論を目にするようになっている。
「金融リテラシーに乏しい日本人」という指摘がなされて久しいが、その際、頻繁に引き合いに出されてきたのが株式投資への消極性だろう。
確かに現状で1800兆円超におよぶ個人金融資産が存在する割には、株式には10%程度しか配分されていない。この状況に物足りなさを覚えるのは確かだ。
また同時に「株式投資が過少である」という事実と合わせて頻繁に指摘されるのが、「現預金が過大である」という事実である。
後述するように、過去5年間で日本株が大きく値を上げたにもかかわらず、依然として現預金が全体に占めるシェアが半分以上である。
日銀資金循環統計(上図)を元に具体的な数字を確認してみると、2019年3月末時点で本邦家計部門の個人金融資産は1835兆円ある。
金融危機が発生する直前の2007年6月末時点(1643兆円)と比較すると、約+192兆円増えたことになる。だが、この内訳を見ると、増加分のほとんどは現預金(外貨預金を除く)であり、790兆円から970兆円へ約+181兆円増えている。
この間、株式・出資金は203兆円から183兆円へ約▲20兆円減っている。金融資産全体に占める割合で言えば、金融危機を経て現預金(外貨預金を除く)は48.1%から52.9%へ上昇したのに対し、株式・出資金は12.4%から10.0%へ低下している。
この2時点間だけを比較すれば、「貯蓄から投資へ」どころか「投資から貯蓄へ」と資産形成が進んだことが分かる。

□バブル崩壊の深手と株式回避
なお、2007年6月末から足許までの動きを見た場合、日経平均株価は最大で約+40%上昇した一方、政策金利は負の領域にまで落ち込んだ(10年金利を例に取れば1.9%程度から▲0.20%程度まで低下した)ことを思えば、このような家計金融資産の動きは直感的には腑に落ちないという印象はある。本邦家計部門に特異な現預金志向が見て取れる。
さらに言えば、上記の2時点比較に限らず、貯蓄と投資の大小関係は長年変わっていない。
株式に国債などを含む債務証券そして投資信託などを加えた合計を投資性資産とし、現預金(除く外貨預金)とのシェアを比較してみたものが以下図である。
両者の差は円安バブルと呼ばれた2005~07年頃に顕著に縮まったものの、危機を経て再び拡大、その後横ばいが続いている。
俗に「日本人は金融リテラシーを欠いている」という議論はこうした投資性資産への消極性と現預金志向の強さを総称した表現と言える。
これほど巨大な金融資産が現預金に傾斜しており、分散投資がほとんど為されていない状況はリスク管理の観点からは適切ではないという指摘は十分あり得る。「金融リテラシーの欠如」は本邦の家計金融資産の現状を表現する1つの論点だろう。
だが一方、過去20年余りを振り返れば、まず為替市場の歴史は疑いようもなく「円高の歴史」だった。そして、「円高の歴史」はそのまま「デフレの歴史」と一致してきたことも周知の通りだ

「デフレの通貨は増価する」は教科書が教える事実そのままである。
上図に示されるように、アベノミクスが始まった2012年12月(円安・株高は同年11月半ばから始まっていたが、第二次安倍政権が発足したのは12月)以降、日本株ははっきりと騰勢を強めたものの、それ以前は主要株価指数の中でも出遅れ感が目立っていた。
ちなみに、バブル崩壊直後である1990年初頭を起点として同様の図を作った場合、日本株はその他の株価指数と比較して「横ばい」という印象に収まる。それではあまりにも恣意性を孕むので過去20年という括りで見ているのだが、約30年前の株価水準を主要国の中では唯一、回復できていないという事実は残る。
アベノミクスの作り出した円安・株高に彩られたリフレ相場においても株式保有が進まなかったことに違和感は覚えるが、それ以前に負ったバブル崩壊の深手が陰に陽に個人の資産形成に影響を与えていることも無視できない。

□「円高の歴史」≒「デフレの歴史」
繰り返しになるが、円相場の歴史は「円高の歴史」、「円高の歴史」は「デフレの歴史」だった。そして、株価は基本的には下落傾向を強めてきた(これもデフレと整合的な動きだ)。
結果論だが、「株式を選ばずに邦貨の現預金を選んできた」という事実は「日本株が冴えず、円高傾向が進んできた」という長年の相場傾向を上手く捉えていたとも言える。
なお、「(日本人が外貨投資に消極的なこともあって)円高傾向が続き、デフレになった」という因果を逆転させた主張も有り得るかもしれない。しかしながら、理論的には「物価が下がる国の通貨は増価する」のであり、実際にそうなってきたという史実は軽視すべきではない。
もちろん、過去20年にわたって外貨に投資していた場合や金利収入や外国株式に投資していた場合のキャピタルゲインは大きかっただろう。ゆえに、「金融リテラシーがあり、適切な分散投資をしていれば円で現預金という選択よりも高い収益が得られたはず」という主張も否定されるものではない。
しかし、その間には危機後の苛烈な円高相場もあったわけで、当時発生した為替リスクを乗り切れなかった投資家も存在したはずだ。
少なくとも「恒常的に物価が上がらない国」において自国通貨高が実現し、家計部門もこれを選好してきたという事実は、理論的に見て違和感のないものである。
現状に目をやれば、相変わらず日本と諸外国の内外価格差は縮まっていないのだから、購買力平価を徹底するならば潜在的な円高圧力は想定して然るべきという話になる(もちろん、為替はそれだけでは動かないが)。資産形成は最終的に各々趣味嗜好や相場観に依存するものであり、絶対的な解を押し付けるものではない。
しかし、「株式を選ばずに邦貨の現預金」という本邦家計部門が長らく続けてきた資産選択は「失われた20年」と形容される近年の日本経済状況と整合的なものだったという視点は知っておいても良いだろう。
マネー現代  2019年07月22日配信 日本人の「金融リテラシー」は本当に低いのか、預金大国の意外な真実  より引用


金融広報中央委員会は、18~79歳の個人25,000人を対象に、2019年3月1日~3月20日に「金融リテラシー調査 2019年」を実施しました。
設問は5つあり、それぞれ正しいと思うものを選択する形式だったそうです。
同委員会のまとめによると、5問それぞれの平均点を見ると、最も平均点が高かったのは、「金融商品の契約についてトラブルが発生した際に利用する相談窓口や制度として、適切でないものはどれでしょうか。」とのこと。反対に最も平均点が低かったのは、「10万円の借入れがあり、借入金利は複利で年率20%です。返済をしないと、この金利では、何年で残高は倍になるでしょうか。」だそうです。複利の計算に答えられなかった人が多かったようです。
海外との共通問題の正答率はどうでしょうか。米国FINRAの調査結果(共通問題6 問)と比較すると、米国が53%で日本は47%と、日本のほうが6%ポイント低いそうです。また、OECD/INFEの調査(共通問題5 問)を用いた英・独・仏との比較では、日本の60%に対して、英国が63%、ドイツが67%、フランスが72%と、こちらも日本の正答率が低かったようです。
また、2016年の調査と比較すると、年齢が高いほど金融リテラシーの上昇幅も大きく、年収や金融資産の金額が多いほど金融リテラシーの上昇幅も大きい傾向にあり、階層別の金融リテラシーの格差は拡大していることが明らかになったそうです。
 全体的なリテラシーの低さよりも、格差が大きいことが問題として指摘されており、今後は若い層に対して、学校などで金融教育を行っていく必要がありそうですね。

不動産担保ローンの日宝より
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