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金融機関は脱ノルマへ!? 遠藤金融庁2期目の「新方針」を明かそう




 こんにちは。不動産担保ローンの日宝です。
 政府がマイナンバーカードを活用して2020年度に実施するポイント制度の概要を発表しました。
10月の消費税増税対策で、一部自治体が独自発行する「自治体ポイント」の拡充を検討していたが、全国共通にするのが柱になりそうです。
提供の仕組みは、民間のスマートフォン決済事業者と幅広く連携し、利用者がスマホに入金すると、地域を問わず使えるポイントを国費で上乗せするそうです。
20年10月に始め、入金2万円に対して5千円分(25%)を提供する案が有力だそうです。消費税増税が間近に迫りました。各企業は準備が必要ですね。
 さて今日は金融機関のノルマについて触れてみたいと思います。


6月下旬、金融庁――。遠藤俊英長官から1枚の紙が突如配られた。
長官と若手職員がざっくばらんに意見を交わすことを目的として遠藤が自ら発案して始めた会合「Tone at the top」での出来事だ。
紙には遠藤直筆の「図解」が描かれていた。いわゆるポンチ絵の下書きのようなものだ。金融庁と金融機関の経営・本社幹部・営業店、さらに取引先の顧客・企業が表記されている。
目を引くのは随所に書き込まれた「psycological safety」というワードだ。
これはグーグルが2012年から取り組んで生産性向上の成果を出したという「プロジェクト・アリストテレス」でも注目された「心理的安全」を指す。
ちなみに「プロジェクト・アリストテレス」とは、業務時間の20%を担当外のことに取り組んでもらう試みだ。職場内の「疑似副業」とみなしても良い。

■「心理的安全」が遠藤金融行政の柱
「心理的安全」とは、必要だと思うことを必要な時に気兼ねなく声を上げられる心理的環境の状態だ。
「必要な問題への対処」よりも「社内政治」が優先されることのない「場の空気」である。心理的安全があってこそ、本当の議論を交わせ、自由な発想で、創造性を発揮できるという考えだ。
遠藤自ら書いたということは、金融機関は「金融庁による強い問題意識の表れ」と見るのが正常な感覚だ。
なぜならば、心理的安全の欠落こそが、金融に最も欠けており、この欠落こそが個人顧客、法人顧客による金融不信の元凶であると読み換えてもまったく差し支えないからである。
「心理的安全」は、8月にも示される金融行政の方針にも盛り込まれるであろう。すなわち2期目の遠藤金融行政の柱の一つとなるはずだ。
目を転じれば、拙著『捨てられる銀行3 未来の金融~計測できない世界』(講談社現代新書)で取りあげた商工中金、スルガ銀行、東日本銀行も、その後に明らかになった西武信用金庫、直近の話では、かんぽ生命などはすべて共通した一つ問題から発している。
経営や本部が苛烈なノルマで営業店、現場を追い詰め、結果、現場が暴走したために起きた事案だ。心理的安全が欠落しているのである。
いずれも目先の短期利益を追求し、営業を推進させた結果、計り知れない企業価値を崩壊させた「愚かな経営」の代表例である。
興味深いのは、金融機関の経営の人間と話すと「ノルマがなければ従業員は弛緩する。ノルマを喜ぶ営業担当者もいる」と堂々、反論されることがあることだ。
しかし、これは裏を返せば「自分は従業員を『自走できない弛緩したがる怠惰な生き物』だと見ており、金融機関が果たさなければならない本来のミッションへの参画を通じた喜びを従業員と共有するなどという経営能力は自分にはない」と、認めていることになる。

■金融機関トップは「不安の囚人」
話を翻すようだが、「心理的安全」の観点から見れば、こうした経営者にも斟酌すべき事情がある。彼らも実は不安でたまらないのではないか。
株主による利益捻出の要求、金融庁による経営の健全性に関する詰問、自分を引き上げてくれた相談役や顧問、会長の顔色、そして何よりもメディアや世間の評価は、金融機関の経営者にとっては「危険そのもの」なのである。
ただ、悲しいかな、彼らは自らの不安を組織内の仲間に開陳し、相談して解消することはしない。自覚症状のない「心理的不安」の囚われ人なのだ。
それでも、人は不安から逃れようと行動する。絶望的状況に陥った際の現実逃避もその一つだが、旧型経営の組織で散見されるのが「責任の転嫁」だ。
自らに降りかかりそうな不安や恐怖を「もっともらしさ」を装ったノルマに転換して、部下や従業員にばらまく特権が経営者にはある。
この場合、課されたノルマを達成できない側が常に悪者である。課す側の悪は、心理的安全のない組織において、決して口にされず、検証は許されない。
本当のところ、ばらまいているのは目で見える「ノルマ」ではない。抱えきれない自らの「心理的不安」を組織中にばらまいているのだ。
遠藤ペーパーで書かれたように経営と本社幹部、本社幹部と営業店、支店長と営業職員のそれぞれの関係性において「心理的安全」は侵されている。
結果、営業担当者と顧客・企業の間にある肝心の信頼関係さえも、不安は病魔のごとくに蝕んだ。
まともなリテラシーのある人間であれば、金融機関の窓口で金融商品を買おうなどとは、もはや思っていない

■「ノルマ」ではなく「ストレッチ」へ
「心理的安全」と聞いて「それでは無法地帯ではないか」と解釈するのも誤りだ。
「心理的安全」を戦略的に採り入れている組織には、より挑戦的で意欲的な目標「ストレッチ」が存在するからだ。
「ノルマ」と、どう違うのか。
外貨建て保険商品や手数料の高い投資信託、アパートローンにカードローン、複雑な仕組み債などを「いつまでに、いくら売れ」と、短期的収益への貢献以外、よく理由が分からないままに下される一方的な指示・命令がノルマだ。
一方、「ストレッチ」は会社組織が存在する理由、意義、理念の実現のために必要だからこそ示される目標だ。経営から営業担当者までが、経営理念とその実現のために必要な行動だという認識を共有している状態だ。
理念と実際の営業の整合性に疑問があるのであれば、誰であれ気兼ねなく、口に出して確認できる心理的安全が大前提に存在する。
ノルマ思考からストレッチ思考にシフトするには、経営戦略の巧みさ以上に経営理念が重要になる。理念から商品選定、サービスまでは一気通貫の整合性がなければならない。
「金融機関トップと話すと経営理念は早々に打ち切り、すぐに経営戦略の話に移ろうとするんだ」と、遠藤は苦言を呈する。銀行、証券、保険会社の経営者は心した方がいい。
金融庁との「対話」で、戦略の巧みさ以上に、理念と行動の整合性を確かめにくるだろう。
金融機関関係者ではない読者へも一言。
やたらと商品を売りつけようとする銀行、証券、保険関係者に質問してみるといい。
「あなたの会社の理念は何か?」
「その理念とやらと、あなたが私に買うようにやたらと奨めるこのよく分からない金融商品は一体、どういう関係にあるのか?」
理路整然と淀みなく答えられないようであるならば、付き合わない方が身のためだ。
なぜならば医療行為を施そうとする医師に「この医療行為は何のためにしているのか?」と尋ねても、要領を得ない答えであれば、誰一人、平穏でいられるはずはないのだから。
自分で何をしているのか分からない者こそ、最も恐ろしい人間に他ならない。

■心理的安全の課題とその先
読者と同様に、筆者も金融庁がどのように心理的安全を打ち出すのかに注目している。
その「心理的安全」の定義は何か。そして許認可権限に検査、処分権限まで併せ持つ金融庁と金融機関の間に、心理的安全は成立し得るのかどうか、だ。
遠藤金融庁は「対話」で乗り越えようとしている。しかし、心理的安全は、論ずるまでもなく双方の関係性、受け取り方の問題と無縁ではいられない。
つまり、許認可と処分を「する側」と「される側」という組織対組織の関係である限り、心理的安全の構築は一筋縄とはいかないのではないか。 今のところ筆者は、「計測できない世界」の問題である心理的安全について、そのように眺めている。
どのような「組織」においても「安全地帯」は成立しうるのだろうか。副業兼業はこうした文脈上に置き直して、その本質的な意味を見つめ直す必要がある。
すなわちそれは、「本業とは違う別の仕事」という単純な理解ではない。時間的にも物理的にも心理的にも「いびつなプレッシャー」から解放された「安全地帯」という場を設けるということだ。
「安全地帯」だからこそ自由な発想が浮かぶ。シャワーを浴びている時に、なぜか妙案を思いつくのと同じだ。副業兼業の目的の一つは心理的安全のスペースを創り出すことそのものではないだろうか。
さらに、組織に一定の規律や目指すべき目標があったとしても、それは決してノルマではない。経営理念から営業現場のサービス、提供する商品までの首尾一貫したストレッチである。
ワクワクするもの、面白いと感じること、共感というストーリーで語られなければならない。
ここで我々は「組織とは何か、個とは何か」という素朴な疑問に立ち戻る。
組織はなぜ必要なのか。その本質的な目的と機能は何か。また個とは何なのか。
これが筆者の現在の関心事だ。(8月3日公開 後編に続く)

金融機関は脱ノルマへ!? 遠藤金融庁2期目の「新方針」を明かそう より引用


北陸の銀行や信用金庫でノルマを廃止する動きが出ているそうです。人事評価も短期的な業績を追うのではなく、顧客本位の行動を重点に置くよう変更し、中長期的な視野に立って、顧客の課題を解決するコンサルティング営業に力を入れようという姿勢を強めているとのことです。

そのひとつ、金沢信用金庫(金沢市)では、今年4月から営業店や職員に対し、金融商品の販売額や貸出金に関するノルマを提示することをやめ人事評価制度も見直し。目標の達成度で評価する従来の「業績重視」から、顧客の課題解決に取り組む日々の姿勢を評価する「プロセス重視」に変えたそうです。
一方、日本郵政グループは、かんぽ生命保険商品販売を巡り、保険料二重払いをはじめ、顧客に不利益を与えた可能性がある18万件超の保険契約について顧客などへの調査を進めており、9月末をめどに中間報告をまとめるそうです。
金融庁はこの報告を踏まえ、業務改善命令など行政処分を検討するとのことです。

同じく日本郵政グループの日本郵便は、全国の郵便局で展開するカタログ販売などの物販事業について、2019年度の営業ノルマを廃止すると決めたと発表しました。 物販事業を巡っては年賀はがきなどと同様、ノルマが達成できない局員が自腹で購入することが問題となっており、来年度以降はノルマの算定方法を見直す方針だそうです。

「ノルマ」は営業スタッフにとってわかりやすい評価の1つだったと思います。しかし、それだけではなく「プロセス」も重要なことは確かです。
金融業界全体のイメージが「ノルマがきつい」となってしまうと、深刻な人手不足の中、自分たちで首を締めることになりかねません。
ノルマがなくても、心理的安全性が確保され、働きやすい環境になることを期待したいですね。

不動産担保ローンの日宝より
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